不動産情報ブログ

内閣府再エネに関するプレゼンへの寄稿文

先日、我々の師事する東京大学大学院の前真之先生が「内閣府再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」のテーマで、河野行革大臣に内閣府の再エネに関するプレゼンを行いました。

前真之(マエ マサユキ)准教授:東京大学大学院工学系研究科

菅首相の2050年までにCO2排出実質ゼロ政策を実現可能にするためのものです。
前先生からのご依頼で、弊社代表の前田由紀夫が、不動産業の立場として寄稿させていただきましたので、寄稿文をご紹介したいと思います。

ドイツゼロエネルギー住宅

ドイツのゼロエネルギー住宅

不動産業をやっていて気が付くのは、住宅購⼊者が最も重視するのは立地、予算、間取りであり、住宅の性能についてはあまり問題視していないことである。設計・建設性能表⽰等の制度は機能しているが、住宅の性能(耐震・断熱等)を決め手とする購入者は少ない。それは既存住宅でも同じである。

自分が省エネ住宅に取り組むようになったのは、訳あって地域の木造大工の職業訓練に係ることがあり、組合員にその技術を広めたいという思いがあった。また、不動産業での住宅価値の重要性を検討した結果、耐震はもちろんのこと、省エネが今後極めて重要なファクターとなると考えたからである。

省エネで快適な住宅は資産価値が高く、持続可能な社会にとって必要不可欠である「財産」であると考えている。ただし現在私が頭を悩ませているのは、いくら優良な住宅生産者が精度の高い耐震・省エネをしっかり施工しても、木造住宅では質の優劣を問わず、30年すれば自動的に価値は減価されてしまい、建物価格はほぼゼロ、融資不可と言う性能評価・金融の壁である。これでは施主が省エネに対して投資する気にはならないのは当然である。

そもそも、住宅が建てられた年代によってその性能は決まっており、地震や風水害等で壊れないのが最低条件である。住宅を販売・仲介する不動産業者も建物の設備に理解はあるものの、省エネ・断熱等についての知識は決して高いとは言えない。建物の省エネ勉強会を工務店、設計者、技術者に対して開催しても、あまり積極的な参加がないのが現状である。

住宅購入者は建物の見えない部分に関心がなく、生産者(工務店、不動産業者)にとっては省エネのメリットを説明できないのである。

今後の低炭素社会における住宅政策を考えれば、建物を建設する段階で最低限の性能として適合義務化をすることで、自動的に将来価値の高い住宅をストックしていくことが得策であり、また性能にすぐれた家を積極的に評価し価値あるものと査定することが不可欠である。

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