誰が儲けた不動産!平成を振り返って見えてくるもの

誰が儲けた不動産!平成を振り返って見えてくるもの

「サラリーマン大家さん」「成功する不動産投資」「頭金無しであなたも大家さん」「年金は不動産に稼いでもらおう」等々、様々な書籍が出版され、セミナーが開催されている。

しかし、私が不動産業を始めて33年、不動産コンサルタント業を始めて25年ほどになるが、一般的なサラーマンが不動産投資で成功した例や、頭金も土地も所有せずに不動産投資が成功した人とは会ったことも、話したこともない。
ましてや、そのような指南をしたこともない。
おそらく現実このような投資で成功した人はいると思うが、相当な強運の持主だったに違いない。

1989年以降、バブル崩壊後に不動産投資で成功するのは難しくなっていく。
土地の価格が上昇局面にある時は不動産を所有している人はそれを現金化すれば誰でも儲かった。
しかし、平成元年以降は毎年地下が下落して行くのだ。

地価株価データ
地価株価データ

そんな時期(平成元年頃〜)にどんな投資家やファンドマネージャーよりも良い成績を出した人がいる。
先祖から受け継いで土地を所有している地主さんで、不動産業者の連日の営業交戦で止む無く売り、現金を普通預金に入れて何もしなかった人だ。
つまり、全くの素人。
地価や株は下がり、デフレが長期に続き現金の価値はどんどん上がって行く。
特に何もしないのが得策だった。

しかしリーマンショックまでは大きな変化はなかった。
リーマンショックで市場の嘘のカラクリが露呈すると経済は大きく変わり始める。
世界的な金利引き下げ圧力や緩和により経済を浮揚させようと手を打つがバブルの後遺症から抜け出すことはできなかった。
昨今、政府はアベノミクスでなんとか景気の底上げをし、最近では経済指数も悪くはないが今ひとつ豊かさが実感できない。
大企業は収益をあげ、中小零細企業までその効果を感じるかとは出来ない。
複雑化している経済を俯瞰してみるとコトはそう簡単ではないようである。
全ての構造が変わってきているのだ。
平成を振り返るとそんなカタチが見えてくる。

不動産コンサルタント 前田由紀夫

投稿一覧へ